特別養子縁組に進む前に解消したい7個の不安(前編)
特別養子縁組という選択は人生に大きな変化をもたらす、大きな決心の一つ!
特別養子縁組で当時10か月の娘を迎えたさきです。私もそうでした。たくさんの不安、どうすすめていけばいいのか、と考えることが多すぎて整理ができなかった。
そこで、今回は特別養子縁組という選択をする前に解消できる不安7個をご紹介したいなと思います。
結論はこれ!
- 特別養子縁組制度は子どものための制度
- 血のつながらない子どもを愛せるか
- 子どもに障害や病気があっても育てる覚悟
- 子を育てる上で実子と違う点
- 配偶者や両親・親族からの反対
- 実親の気持ちが変わったらどうしよう、返すの?
- 特別養子縁組に必要なお金
この記事では前編として3つの各項目の詳細をそれぞれ見てみましょう。
1.特別養子縁組は子どものための制度
特別養子縁組は子どもの福祉のための制度であり、子どもが欲しい人のための制度ではありません!
どこでも一番最初に目にするこの一文。
当時わたしも
「あれ?私たちじゃだめなのかな?」
「すっごい家庭じゃないと子どもの利益にならないかな?」
とずっと研修終わるころまでモヤモヤしました。
大丈夫です!この疑問は特別養子縁組で子どもを迎えたいと考え、動き出したときに誰でもぶつかる第一関門。
大切なのはこれを自問自答しながら研修を受けたり、改めて夫婦で話し合っていくことです。そのために、児童相談所や民間団体で聞かれる質問を軸に、具体的に考えたり話し合うポイントをまとめてみました。
- どうして特別養子縁組をしようと思ったのか?
- 養育里親ではなく特別養子縁組を選択したい理由は?
- 年齢や性別の要望はある?
- こどもが病気や障害があると分かった場合どうする?
- 親や親族が反対したらどうしますか?(賛成されていますか?)
どうして特別養子縁組をしようと思ったのか?
NG例は「不妊治療で授かれなかった代わり」や「後継ぎがいないから」など自分たちの「利益」のため!
正解はわたしにもまだわかりませんが、子どもを主軸として考えた上で、なぜ自分たちが子どもを育てたいと思ったのか、思いを夫婦で1つ1つ棚卸ししていくことが大切です。
一例ですが、ご参考に面談時の私たちの回答を記載しておきます!
養育里親ではなく特別養子縁組とした理由
私たちは聞かれ方としては、養育里親と特別養子縁組どちらをご希望ですか?どちらも登録されますか?という質問でした。
児童相談所でも地域によってはどちらかしか希望できないこともあります。どちらを重視していて、それはなぜかを考えることも大切です。
また不妊治療についても聞かれます。不妊治療をやめて特別養子縁組に進む理由や不妊治療をやめるかどうかなどについても聞かれます。
年齢や性別の要望はあるかどうか?
希望可否やその実際どうなのかは、別記事で詳細を記載しますがこれも聞かれます。
面談後の研修進む中で変化があってもOKです。まずは自分たちがどうしたいかをしっかり考え、夫婦で意見を合わせておきましょう。
例えば、体力的な理由により男の子は厳しいと伝えていた方もいましたし、一概に要望しちゃダメ!ってわけではありません。
ただ、正当な理由があるかどうかが大切です。
病気や障害、親の反対について
これらについては以下の
3.子どもに障害や病気があっても育てる覚悟と
5.配偶者や両親・親族からの反対
にて詳しく解説します。
2. 血のつながらない子どもを愛せるか
本当に血のつながらない子どもでも愛せるのか?と不安になる方も非常に多いと思います。
そうですよね?そこで、私たちは研修を始める前にまず乳児院さんの抱っこボランティアに参加していました。そうすることで参加中にこの中の子がもし私の里子として来てくれたら?とイメージできただけでなく、年齢や性別、病気や障害の要望についても夫婦で事例を交えて具体的な話し合いができるようになりました。
ぜひ近くの乳児院さんや養護施設さんのボランティアに参加しましょう!
そして、実際に委託が決まり娘と初めて会ったとき、血のつながらない子どもを愛せるのかという不安は完全に消えました。
これは私の周りの養親さんの皆さんもそう口をそろえておっしゃっています。
もちろん、今でも子どもとの関係がうまくいかないときに、「養子だからかわいくないんだ」と思ったり、「血がつながらない」ことを理由にすることだけはしないようにしようと心に決めています。
3. 子どもに病気や障害があっても育てる覚悟
特別養子縁組を検討したとき
「もし、養子に迎えた子どもに病気や障害があったら、育てられるだろうか…」
心配になる方は多いと思います。
養子の子育て、さらに障害がある子どもとなると不安は募りますね。
自分たちで引き受けた子どもが病気になったり、障害を負ったりした場合に育てていく覚悟は必要ですが、一部の民間団体さんや児童相談所からの委託では事前に子どもの希望の条件を出すことができます。
想定される障害や病気とは?その確率は?
ここでは生後すぐにわかる(委託前にわかる)病気や障害と、成長につれてわかる病気や障害の事例を紹介します。
どこまでなら受け入れられそうで、どこからは難しそうか、またなぜそう思うのか、自分たちでぜひ深堀してみてください。
- 心臓疾患ダウン症などの遺伝子疾患
- ダウン症などの遺伝子疾患
- 奇形(口唇口蓋裂、多指症、鎖肛等)
- 発達障害
- 知的障害
- 視覚や聴覚障害
- アレルギー(花粉症・アトピー性皮膚炎等)
発達障害は生まれつきの脳機能の障害ですが、診断されるのは早くて1歳半~2歳程度とされています。
さて、内閣府の調査では、全人口に占める障害者(身体障害、知的障害、精神障害)の割合は7.6%程度です。
一方で少し古い情報ですが2016年の日本財団の「養子縁組家庭に関するアンケート調査結果」では、養子の障害等ありの割合は14.3%です。
調査対象の障害が異なるのと対象年齢が異なるので一概に比較はできませんが、一般の子どもの総数に比べると養子の障害等の確率は高いようです。
なぜ高いのか、いろいろな理由が考えられますが現時点で完全に証明されたものはありません。ただ、少し余談ですが、皆様の覚悟の後押しになればと思いますので、児童相談所からお聞きした話を参考までにさせてください。
生まれてからしばらくして保護された子どもの場合はネグレクトや虐待、養育環境における喫煙者の有無など、子どもにとっては、そして発育にとっては過酷としか言えない状況で育った子も少なくありません。
また、予期せぬ妊娠で発覚前後も飲酒や喫煙をやめなかったり、覚せい剤などの薬物使用などがある場合があり、私たちが想像するよりもはるかに、お腹の中にいるときから過酷な環境で育っていることが少なからずあるということを皆さんに知っていただきたかったです。
養子縁組を考えるとき、上記のような子どもがすでに背負っている過去を一緒に背負い支えていく覚悟は必ず必要になります。
では、障害がある子でも100%愛する自信が必要で断れないのか?
障害がある子でも100%愛する自信が必要で断れないのか?
これは、斡旋の団体さんによって見解は様々です。
子どもに重大な病気や障害があってもマッチングされたらお断りできない、私たちも当初はそう考えていました。
しかし、実は斡旋の団体さんによってさまざまです。特に児童相談所さんはしっかり要望のヒアリングをしてくれる印象でした。民間団体さんでも事前にわかる病気についての受け入れ可否は要望できる団体さんもいくつかあります。
これは、無理して引き受けてみたもののやっぱり育てられませんでしたとなってしまう方が事前に断られるよりもはるかに子どもも、里親・養親も傷つき、大きなマイナスになってしまうためそのような事態を極力避ける方が子どもの福祉にとって良いと考えているからだそうです。
事前に病気や障害が判明していて「どの程度なら大丈夫、でもこれ以上であればつらいかも」という線を自分たち夫婦でよく話し合い決めて、斡旋団体様に意向をしっかり伝えていく必要があります。または、それを軸に団体さんを選定するのもよいかもしれません。
前編まとめ
さて前編では実際の自分たちの特別養子縁組に進むための軸に関するような下記3点を解説しました!
- 特別養子縁組制度は子どものための制度
- 血のつながらない子どもを愛せるか
- 子どもに障害や病気があっても育てる覚悟
後編では以下の委託後のお話や周囲の人々、お金のお話をしたいと思います。
- 子を育てる上で実子と違う点
- 配偶者や両親・親族からの反対
- 実親の気持ちが変わったらどうしよう、返すの?
- 特別養子縁組に必要なお金
また、特別養子縁組里親登録への具体的な条件などは以下の記事を参考にしてください。